ひなこ

いなくなれ、群青のひなこのネタバレレビュー・内容・結末

いなくなれ、群青(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

全くの事前情報なしで鑑賞した本作。
夏あるあるの若手俳優で構成されるラブストーリーを想像していたら全くその予想を裏切られた。いい意味で。

ファンタジー?青春群像劇?恋愛?ミステリー?
『溺れるナイフ』を見たときに感じた、若さゆえの鋭い人と人の交わりの尊さと美しさ。
小説調に区切られた構成も面白いが、体感として各章の長さにかなり差があって違和感が少しばかり。中盤の音楽祭前後で飽きそうになってしまった、、、。

▼試写会を経て考えたポイントを思いつくままに

①「捨てられた」人が集まる階段島
人が誰しも持っている成長(=大人の階段を登る)の上での、蓋をした「自分」。
それがほかの誰かにとっては欠かせない「自分」の個性や長所であるのだ、ということを力強く描いていたところがとても良かったと思う。主人公2人の関係性においてはもちろん、委員長のお節介さが後輩を救う場面でも美しく描かれていたのが素敵だった。

②染まらない真辺
階段島の中高生女子の髪型は見る限り一様に、肩につく長さならポニーテール、あとは短いおかっぱ頭。
その中で真辺は常にミディアムヘアーを下ろしていた。そんな姿からもどんな環境でも自分を貫き通す、「ピストルスター」様の凛とした輝きを放っていたように思う。

③魔女はなんだったのか
多分それだろうという推測はできた、が、読みの浅い私では確信には至らず。
「魔女」という形容だと特に前半は悪を連想していたものの、物語が進むにつれ「母」のようにそれぞれの過去の姿を暖かく見守り続ける存在に思えてくる。過去の目を背けたい自分にも生きる居場所があるということを語りかけていたような。
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