ろた

いなくなれ、群青のろたのレビュー・感想・評価

いなくなれ、群青(2019年製作の映画)
5.0
原作シリーズファン納得の映像美と音楽。
温度や湿度、匂いまで感じさせるような階段島は、どこか懐かしく時代に取り残されたような雰囲気で、プロデューサーや監督が原作ファンであり、読み込んだからこその創作だと思った。
CGを使わずに天候や自然を味方につけた撮影という様々な「青」がとにかく美しい。
音楽も素晴らしく、セリフとして語らないキャラクターの心情を表現。映像と演技と音楽が一体となって「階段島」を創っていた。
また若手俳優陣の競演も素晴らしく、含みを持ったキャラクターを演じるのは、とても難しかったと思うが、それぞれがキャラクターを理解して演じていたと思う。
原作シリーズ完結前に制作されていたこともあり、省かなければならないキャラクターや、逆にシリーズ内から加えたキャラクターもあったが、エンディングは原作「いなくなれ、群青」のラストに落ち着いている。そこに違和感はなく、とても上手く脚本が作られていた。
昨年夏に撮影された作品で、主演の横浜流星はブレイク前だったが、難しいキャラクターを繊細に丁寧に演じていて、とても素晴らしかった。
物語が七草の主観で進むことから、詩的なセリフのモノローグが多いが、耳心地のよいその「声」が映像美と重なって、ため息ものだった。
階段島の風景と七草…老若男女が世代も性別も超えて美しい!と感じるはず!!
Jアイドル主演作と同日公開だというのに、テレビCMもなく地味な宣伝ではあったけれど、あちらが使えないSNSを使って、つくり手とファンが拡げていければいいなと感じずにはいられない😥
ぜひ劇場で!大きなスクリーンで、その映像美と夏の匂いを感じて欲しい作品。
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