もしかしたらあり得たかもしれない世界
作品の世界観は他の映画作品にも見られるようなSFです。
あまり詳しくはないですが、アニメ映画でいうと攻殻機動隊、ハーモニー、PSYCHO-PASSに近いものがあります。
退廃的な光景、薄暗く古びた町並みは攻殻機動隊
徹底的に管理され「健康長寿」が至上命題なところはハーモニー
その中で疑問を感じたり、元々の特性としてはぐれ者になってしまったりした人達はPSYCHO-PASS
ストーリーはその中でもPSYCHO-PASS的です。
アクションがあるせいかもしれません。もしかしたら敵が白髪の男性（CV櫻井孝宏）で主人公サイドが短髪女性（CV花澤香菜）だからかも･･････
全体的にサクサク進みますし、内容もほどよく難解。
生きる事とは、何を目指せばいいのか、そんな疑問を主人公達のように抱えてみると面白いかもしれません。
原案の人間失格は原案として、あくまでもそのテイストのみを残しています。
「恥の多い生涯を送ってきました」
そんな導入や「道化」などのキーワード
主人公による三つの手記による記述として描かれているところから垣間見えます。
そのほかにも太宰の「人間失格」からの引用が見られます。
原作を読む必要はありませんが、読んでおくとより楽しめるかと思います。
テーマとしても通じるものがあります。
ストーリーはなんというか、個人的には意外な終わり方でした。
前半は結構王道で、そのまま駆け抜けていくかと思いました。
ただ、より現実的で、あり得たであろう未来としてはなるほどと納得させられました。
とはいえ「んーそうなるか･･･」と思うところはありました。書くとネタバレになるので書きませんが･･･。
ラストはどう表現していいのかわかりませんが
どこかメリーバッドエンドのようなので、メリバが苦手な僕としてはダメージ食らいました。
そこらへんは偏見かもしれませんが「冲方丁さんだな･････････」て思います。
アニメーションはさすがのクオリティだと思います。
CGアニメーションには少し抵抗感があるのですが、もはや気にならないレベルでした。
全体的には楽しめました。
友人にも観てもらって語りたいです。説明されてないといえばそうなんですが「考察の余地がある」とすれば面白い映画だと思います。
また、冒頭に書いたような攻殻機動隊やPSYCHO-PASS的な設定はつぎはぎだと怒る人がいるかもしれませんが、ただでさえ難解なテーマを扱う以上既視感のある要素は「とっつきやすさ」として好印象です。
おすすめできるかと言われたら諸手を挙げておすすめとはいえません。
頭空っぽにして観るとただただ置いてけぼり食らうだけなので
太宰既読で考察がある程度好きで、ちょっとアラがあっても脳内補正できる人にはおすすめです。
結構低評価されてますけど、個人的にはそこまでひどい映画だとは思いませんでしたよ。
