ＩＭＡＸ上映最終日に滑り込みＴＥＮＥＴ。
ようやく体験してきました、ＴＥＮＥＴワールド。
鑑賞してきた、ではなく体験・体感してきたという言葉がピッタリです。
ノーラン監督、またとんでもない映画を作ってくれましたね。
ホントに逆行してくる車がいそうで、映画館を出て車を運転して帰るのがちょっと怖かった。まさに世界の見方が変わった感じ。
そんな錯覚を感じさせてくれる、他には無い素晴らしい作品でした。
この映画は難解だと言われているようですが、最後まで観れば色々分からなかったことが繋がって、ストーリーを把握できないほど難解ではないと感じました。
前半はたしかに何が起こっているかよく分かりませんでした。
でもそれは主人公と一緒に初めてこの世界を体験しているのだから当然で、むしろその過程がこの映画の醍醐味なんだと思います。
終盤は次々と仕組みや謎が明かされていき、逆行を体験するのもとても楽しかったです。
ストーリー自体は監督も言っている通り王道のスパイ映画ですが、そこに時間の交錯という軸を持たせた事で唯一無二の映画に仕上がっています。
世界各地を舞台にしていて物語の壮大さは感じたけれど、ちょっと慌ただしい感じを受けました。もう少し舞台を絞ってそれぞれの場面を丁寧に描いていたら分かりやすかったかな。
でも、次々と舞台が変わるからこそ観ている側を混乱させて緊張感を続けさせているんでしょうね。
個人的には逆行してきた物体がなぜ順行世界であのような動きをするのか（エントロピーの減少って事なのかな）などの説明ももう少し欲しかったです。
全編通してこの映画をさらに高めてくれている音楽も素晴らしかった。
美しいメロディーがありつつも、そこに重なる不快とも思える圧迫感のあるサウンドが緊張感を高め、時間の逆行という特殊な状況にとてもマッチしていました。
多くの作品でタッグを組んできたハンス・ジマーではなく、ルートヴィッヒ・ヨーランソンでしたが、さすがアカデミー賞受賞作曲家。
ともかく１回観ただけでは理解できていないことや、２回目以降だからこそ楽しめる要素が沢山あるので、これから何度も何度も見返したくなる傑作でした。
