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TENET テネットのsachiのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0
52
3回、観に行きました。1回目は「どうした、どうした?何がどうなってる?」と翻弄されつつ、意味が分からないまま展開されるアクション、ありがちな筈の逆再生が見たこともないリアリティを放つ不思議な映像になっていたりで、やたら昂奮して「ぉ、お、面白かった!(大筋しか分からんけど)」。大筋はシンプルなんだけどな。スパイ映画に時間を加えるとこんなにややこしくなるんか。

2回目は解説動画などをガッツリ見て、ある程度理解してから臨み(二人の出会いに思わず涙)、3回目は細かいところをチェックしつつ余裕気味に(でも分からんことは分からん)。どの状態でも面白かったんだけど、めずらしいことに2回目がとくに面白く感じたな。

理解するための解説や時系列をチェックすることも含めて、存分に楽しみました。これが億劫にならず不愉快に感じずにエンタメとして楽しみに変わるのがノーラン作品だなというか、私には合っている。

それで、ネタバレしつつ続編への希望を書こうかと思っていたのだが、日々の厄介ごとにかかずらわっている間に月日も過ぎ……もはや敢えて言うことでもない。ポロポロ忘れとるし、おさらいしている余裕が今ない。とにかく続編を待ち望んでいます。「当然、彼も出てくるよね?」との気持ちで。


「映画に何を求めるか」ノーランは好き嫌いが分かれる監督のようだけど、彼の映画は私が求める最たるもののひとつだ。エンターテインメントに一歩踏み込んで、或る種の体験を残してくれる。『ダンケルク』をIMAXで観ていた時に、シアターの床が爆音と共にズズンッと振動した。「え?」衝撃だった。MX4Dなどより、ずっと自然に。戦場で張り詰めた1秒1秒を過ごす。その場は安全で映画を観ている愉悦しかないが、同時に戦場を体験している不思議な感覚。「映画館でなければ体感できないようなものは」との批判も聞くが、出不精の私がわざわざ映画館にいそいそ出かけていくのはそこでしか味わえないものの為だ。

もうひとつ。物理学的なアプローチや、特に「時間」を扱った物語が好物なので、その点でもノーラン寄りの嗜好なのでしょう。あと、アクションもスパイも好き。はい『TENET』、嵌まらん理由がない映画でした。
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