ARAN

TENET テネットのARANのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.6
1回目で一ミリも理解できなかったのでネットの力を借りながら2回目を観に行って、全部ではないにしろ自分なりにこの映画を楽しめるレベルには理解できた。
まずこの映画、絶対的なルールとして過去に起こったことは起こる。そして逆行すると言う性質上パラレルワールドは存在せず、同じ世界線で物語が進行する。この2つのSFルールがある時点で、この映画のシナリオは運命的に決定されており、希薄的に言うと登場人物たちはそれに従って行動してるだけ。SF映画としてこのような設定になってる時点で面白味を感じない人はこの映画の評価が低いかもしれない。
ただこの映画の人物(主にニール)は運命論に従って生きてるだけではないのが魅力的。ニールは全て知っているのにも関わらず、主人公の言った無知は武器という言葉どおりに、主人公に適切なタイミングで適度な情報を与えて運命に導いていく。自分が死ぬ運命であって、過去に戻れるテクノロジーがあるのに、自分の命をどうにかして救おうともせず、過去に母と共に救ってもらった命の恩人を助けるために自ら死に向かって突き進んでいく。なぜならそれは自分が死ぬ運命でもあり、同時に主人公が助かる運命であるから。あの時主人公がマックスを救った時点で、ニールが死ぬ未来が決定していた。これを全て知りながら2回目を見た時にはもうニールが映るたびに泣きそうになった。こんなに主人公よりも主人公してる熱すぎる漢が出てる時点でこの映画はもう最高。
作中でたびたび挟撃作戦という言葉が出ていたけれど、この映画はまさしくニールと主人公の
「美しい友情の挟撃」を見せられているんだなと感じた。
クリストファーノーラン、最高。
ARAN

ARAN