ゆっきー

イップ・マン 完結のゆっきーのレビュー・感想・評価

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)
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己を「貫く」こと、「正しく優しく」あること
ついにイップ・マンシリーズが完結!
ドニー・イェンの代名詞と言われるほどに数々の名シーン、名バトルを生み出してきた同シリーズの最終作は信じられないほど深い映画である。
正直、言葉にするのも難しい。
なぜなら、これほど円熟を映し出した作品は今までにないからである。
老いたイップ・マンの技の一つ一つが美しい。
道を究めるとはこういうことかと思ってしまう。
それぐらいシリーズの積み重ねを感じる作品でもある。

その一方で本作はアメリカを舞台に、中国移民への差別が描かれる。
様々な不平、権力、不条理に再びイップ・マンが立ち上がる姿も必見である。
そこで登場する人々の機微などはまさに現在の世界情勢を思い起こさせるタイムリーなものとなっている。
もちろん同時にイップ・マンと息子の親子関係も注目である。

自分のやりたいことや信じるものを貫くことは時に難しい。
そんな時に私はイップ・マン師匠の姿を思い出す。
彼はまさに武術というものに命を捧げ、人生を捧げたからである。
彼の勇姿こそまさに生を全うしたというにふさわしい。
この映画体験はきっと忘れられないものになります。
カンフー映画にとどまらず、映画史に残る傑作です。
ゆっきー

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