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イップ・マン 完結のEDDIEのレビュー・感想・評価

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)
5.0
詠春拳の枠を超えた中国拳法と空手の権威をかけた対決。イップマンはなぜ闘うのか?異国の地で答えが微かに見えた気がする。詠春拳は継承され木人椿は響き続ける。79年の生涯は戦いで絶えなかったが常に自分を見失わない強さがあった。完結。

もはや満足度という意味では5.0以外ありえません。
本作が今年の5月に公開されると聞いて、4月に『イップマン序章』を鑑賞。5月の公開が延期となり、7月に再度公開が決定。6月に『イップマン葉問&継承』を鑑賞して完結編への準備は整いました。
3作目があまりにも感動したので、完結編がこれを超えるのかという疑問もありましたが、結果は杞憂でした。

しかもドニー・イェンがアクション俳優のスコット・アドキンスと一騎打ち。これには気持ちが滾りましたねー!本作は年老いた(設定の)イップマンがサンフランシスコの地でたくさんの刺客と対戦しますが、これまでのシリーズと大きく異なるのは基本的に一対一だったという点(まぁ一応学生のいじめっ子たちとの対決はありましたが)。

さらに「イップマンがなぜ闘うのか?」という問いに対して、これまでの3作はそれぞれに異なるアプローチがあり、本作では最適解を出してくれた気がしました。
戦えども戦えども満たされない表情を続けていたイップマン。本作では息子との沸きらない関係もあり、そこが上手く解消されたことにより、イップマン自身は満悦な表情を見せてくれましたし、戦い続けた意味を我々にも表してくれました。

そして、本作はアメリカ海兵隊がまるで悪人のように扱われていますが、これまでの悪者とは異なり、真剣勝負の一騎打ちが基本。武士道にも通じるキャラたちには憎めない要素が含まれていました。人種差別的な問題にも触れており、少し酷い描写もありましたが、1960年代の海兵隊の訓練なんてあんなものだろうという感じです。

とにかく冒頭から前作を引き継ぐ流れで感動の涙が止まりません。この数ヶ月でシリーズを鑑賞した私は、10年間シリーズを追いかけ続けた人と比べると大したことはありませんが、それでも感慨深さはかなりのものがありました。劇場内もすすり泣きが聴こえておりました。

ブルース・リーの師匠としても有名な彼。終盤のブルース・リーが彼のもとを訪れる場面があるんですが、とても重要な催しの席でグラサン掛けっぱなしはさすがにあり得ないだろとは思いましたが、ちょっと笑っちゃいましたね。

あとは本作の重要人物の1人、中華総会の会長ワン・ゾンホアの娘ルオナンを演じたヴァンダ・マーグラフはとても可愛らしい子でしたね。しかも太極拳の使い手ワンの娘ということで武術も巧み。是非注目して観ていただきたい。

イップマンvsワン(ウー・ユエ)、イップマンvsコリン・フレイター(クリス・コリンズ)、イップマンvsバートン・ゲッデズ(スコット・アドキンス)と見応えある格闘シーンが相次ぎます。アクション面は間違いなく見応えがあるし、人間ドラマとしても特に息子とのすれ違いと共鳴というステップは感動的で総じてシリーズ最高傑作と言ってもいいのではないでしょうか。
付け焼き刃のような形ではありましたが、本シリーズを鑑賞できて本当に良かったです。素晴らしい作品に出会えてありがとうございますと製作陣には感謝の気持ちを届けたいですね。

※2020年劇場鑑賞79本目
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