半兵衛

愛欲の日々 エクスタシーの半兵衛のレビュー・感想・評価

愛欲の日々 エクスタシー(1984年製作の映画)
5.0
大人になった男女の恋愛は色々と背負っているものがあるだけに面倒臭い、そんな素直になりにくい関係性をよく捉えているこのドラマは私にとってストライクな作品だった。

冒頭の服を着る女性を丁寧に映した映像からこの映画は違うと感じたが、序盤の主人公の二人が訳ありであることをさりげない様子で表現してそれぞれが出会うカット割りでこの映画が傑作であることを確信した。そんな二人によるゆきずりの旅をエロスと様々なエピソードを通して繊細に描いたドラマはまさしく理想のロマンポルノであり、二人の関係性の変化を性行為で示唆する演出も◎。

ドラマに度々インサートされる二人の過去の出来事、男が所持する乳歯、女の発熱…それらがすべて再出発するかのようなラストへ結び付き見ているこちらも何故か心が晴れやかに。ごちゃごちゃした愛も決して悪くはないし、それなりに心地がいいものなのかも。

哀愁のある下元史朗の演技もお見事、そして大杉漣はこの時点で名バイプレーヤーだった。
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