相当酷い虐待だったことが映画の冒頭で描かれた3兄弟の怪我や表情から汲み取れ、正直母親が父親を殺してしまう気持ちに共感すらした。
もちろん人を殺すことはどんなことがあってもだめだとはわかっていても、自分が我慢し、子供達に我慢させ、どこかに相談したとしても、一時的には逃げられるがいずれまた繰り返されるという社会への不信感と相手の報復に対する恐怖心をもって、自分も子供たちも自分らしく生きることができるんだろうか。と考える。
私がうけたハラスメントも、パワハラとセクハラとストーキングが入り混じり、追い詰められて、誰も信じられずどんな方法をとっても犯罪ギリギリの線で報復してくるだろうという恐怖だった。
でも家族のためには職を失うわけにはいかないという責任感で我慢し続けていたけど、あの数年は人生に不要な数年間だったとおもう。
そのことと重なった。
あのお母さんを肯定していいのかわからないけど、旦那さんを殺し服役し
家に戻るまでの15年は、たぶん彼女にとっては殴られ続ける15年よりもずっと幸せだっただろうと思う。
3兄弟やヤクザから足を洗ってタクシー運転手を始めた人の息子さんが、自分たちの不幸を親のせいにしているところ。自分と重なるところもあり苦しかった。
いまは全く思わないけど、まだ未熟だった頃は、こんな親だから自分がこうなった、こんな環境にいたからこうなったと思ってたなぁ。
1ミリも関係ないと言い切れないけど、どうにでもできたはず。言い訳したらキリがない。
今生きてるこの瞬間や、いまいるこの場所でしっかり生きる。自分の意思で選ぶ。
そして本当に自分の人生が大事て抜け出したいならできる。
あの3兄弟は、きっとあそこでお母さんを待ちたかったんだ。待ちたくて待っていたからこそ、それによって起こる不幸はお母さんのせいで自分たちが選んだのではないと言っている。
あそこにいること、あそこで待っていること、母親の事件に15年も執着したいること。
全部自分たちで選んだことに気が付けていない。
お母さんは自分で選んだから、誰を恨むことなく服役もして、戻ってきてからのいろんなことも自分が選んだことの副産物だと思い受け入れているようにみえた。
