数年前から田中裕子さんが好きだ。
きっかけは何だったかな。
「共喰い」だった気もする。
今回もそうだけど、
「世間の正義は違うと思いますが、わたしの正義はコレですので。」
という役柄がとても似合っていて、ご本人も少なからずそういう部分があるのではないかと勝手に想像している。
ただそれは家族になると話は別で、世間との正義の違いや常識の違いは、他の家族を苦しめるものになる。
他人に話すと「面白いお母さん(お父さん)だねー！最高じゃん！」
(この映画の場合は「子供たちを暴力夫から守った聖母」と言われたりしている。)
みたいに言ってくれるが、じゃ貴方、わたしと変わってくれますか?
となるかもしれない。
長男が「母さんなんだぞ！」
「それでも母さんなんだから！」と言うシーンがある。
この「そうは言っても家族なんだから！」
という一見感動的な響きに聴こえる脆い言葉。
もう無くしたら良いと思う。
先日観たNHKの番組で心理士の方が、アナウンサーに
「親は捨ててもいいんでしょうか？」と聞かれ
「いいんじゃないですか？」
(同じく「親を許せ」という風潮に対しても、「別に許さなくてもいい」と言っている)
「まだまだ世間はそういう目では見てくれないでしょうけど、わたしくらいは言ってあげたい。」
というようなことを言っていた。
わたしも同じように思った。
この映画は、家族の再生がうまくいってそれはそれで良いけれど、別の結末があってもいいのではないかと思った。
