そまたま

ひとよのそまたまのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
4.0
呪いのようにかけられた、あなた達は自由だ何でもできる、この言葉と闘う兄妹の物語。
何者かになろうするも、現実とのギャップに苦しみもがく。
この物語では母の言葉として象徴的に描かれているが、現代人の多くがこの呪いに苦しんでいるように感じる。
なりたい自分なんてそもそもない。自身の内面と向き合い、ダメな自分を受容し、他者を拒絶するのではなく、対話によって相互理解を深める。
そやって日々生きていくと、少しだけ灰色だった日常が違って見えてくる。
ちょっとだけ、他人に優しくなれる。
何者でもない自分の1日1日をただ淡々と過ごす。
これ以上に幸せなことってないのかな。

白石和彌監督、相変わらず人間の本質的な一面を切り抜くのが非常に上手。

#2021-18
そまたま

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