Ponchan

ひとよのPonchanのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
4.2
2022/3/27 白石和彌 監督

外出をして、他人を見ると、
自分以外の人間、みんなそれぞれに人生があって、
産まれてから一歳また一歳と歳を重ねて、
ひとりひとり多種多様の物語が死ぬまで続く、
まさに十人十色。
当たり前の事なんだけど、
そういうときにふと思うのが、
この地球には主役しか居ないじゃん!
え、まって、それって本当に凄い事だよな。。
1人ごとに1作品ずつ映画とか小説作れるやん、
素敵やん
って最近よく考えるんです。

そんなタイミングで観たからこそなのか、
凄く自分には沁みました。
ここまで多くのキャラクターの"ひとよ"を
映像から共有ができる映画は
実はとても少ないんじゃないかなーと思いました。
もはや鑑賞終盤あたりには斎藤洋介さん演じる、
コンビニの店長にすら、
(この人にもコンビニの店長になるまでに色々な人生を歩んできたのかなぁ…)
とか考えてしまうくらい、映像に出ているキャラクター
全員の気持ちを汲み取っていました。

自分の歩んできた人生とは、
真逆の家庭や環境のキャラクターばっかりだった。

けど、

遠慮なのか他人の気持ちばかり考えて、
わかったようなフリをして、
言いたいことも言えずじまい、
結果それを相手もなんか感じ取って、
その人との関係がなんか気まずい。
間に挟まれた第三者はもっと気を使って、
更に更に余計に気まずい。モヤモヤ。
みたいなのよくあるじゃないですか。

そうやって溜め込んでるよりも、
自分が思ってる事を心の底から
本気で感情をぶつけ合ったときの方が、
言わなかった時より相手の事、
更に自分の事を、
より一層理解できて、
関係が良好になっていく。
関係が悪くなってしまっても、
人として強く成長している。
そういった人間皆が経験したことのある
描写とかがあったからなのか、
登場人物皆に共感というか
それそれの登場人物の心情を共有できて、
自分には響きましたね。

あとは最近の映像作品や舞台に多い、
過剰すぎる音楽で鑑賞者の感情を
焚き付ける演出が大っ嫌いなのですが、
そこが「ひとよ」は完璧にちょうどいいのです。
煩すぎず、感情をしっかり揺さぶってくれる。
音楽が映像と完全調和してる作品でしたね。
ほんと最高。

行定 勲 監督「劇場」にも出演されていた、
松岡 茉優さん。
ほんともうねーこの人の演技はリスペクトしかないです。
喜怒哀楽を100%違和感無しに演技できてる
女優さんって日本でこの人だけじゃね、、、?
って思ってしまうくらい完璧に演じられていました
心が動かされる演技ができる数少ない女優さんだと自分は思いました。

鈴木亮平さんも、出演作品を観たことがあまりないのもあるのですが、「ひとよ」を通して大好きになりました。言葉がつまるごもりの演技から、あまり感情を表に出さない人間が爆発したときのインパクトなどの表現は鳥肌が立つほど感動しましたね。

千鳥の大悟さんはお笑い好きの身からすると、
そこのシーンだけ少し、
集中力が切れましたね笑
よかったですが!

最後にまとめると

完璧な人間なんていない。
完璧な家族なんていない。
人間1人1人それぞれに、
それぞれ違った"ひとよ"の形がある事を、
再確認させてくれる映画でした。

最高に有意義な時間を過ごせるかつ、
とても素晴らしい作品だなと私は思いました。
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