はむ

ひとよのはむのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
4.2
試写会、一ツ橋ホールにて鑑賞。
子どもを守るため、母が罪を犯したある「ひとよ・一夜」から15年後の再会から始まる物語。
2時間3分の上映時間でしたが、戯曲が原作だからか全然中だるみなくキャストも演技派なので純粋に芝居でも魅せられ、物語でもグイグイ惹きつけられました。
母親役の田中裕子さんの演技は圧巻。
長男の鈴木亮平さんは吃音という難しい役でしたが、後半のちょっとゾッとする演技がすごく良かった。
長女の松岡茉優さんも母親に甘えるシーンなど緩急の塩梅が上手かった。
次男の佐藤健さんは一番難しい立ち位置の役でしたがやさぐれて刺さるような目での演技を含め母親に対する気持ちが誰より強いのが伝わってくるのが良かった。
そんな3兄妹の空気感がすごく良かった。
脇役では音尾さんがダントツで素晴らしかったけど、全員キャストがいい芝居をしているのがこの作品を観る価値を上げていると思います。

タクシー会社での家族のような信頼関係の繋がりも絡めながら、ぎこちない家族の再スタートがきれいごとじゃなく描かれています。
血のつながりがあるがための拗れ。
過去の出来事がフラッシュバックで現れる時の演出が印象的。

重たいテーマですが、案外笑えるシーンもあり、思ったより観やすい作品でした。残念だったのは音響が悪くて所々セリフが聴き辛かったので劇場でまた観たいと思います。
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