ロダン先生

ひとよのロダン先生のレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
4.5
◆こんな方にオススメ
・涙もろい方
・鬱展開が平気な方
スコアは上記に当てはまる方が対象です
◆感想
※長くなってしまいました
たった今観たところなのですが、完全に突き刺さってしまいました。いやー、泣いちゃいました。ジャンルとしては、哀しさの下にある人間愛、という感じでしょうか。

かなりの鬱展開で進むので、客観的に見ると、観る人をかなり選ぶのではないかと思います。

お話としては、細かい伏線が後でどんどん繋がっていって、とてもよくできています。原作は舞台だそうですが、緻密な計算と大胆な展開を共にやってのけてます。

良いなと思ったのは、葛藤や迷い、苦悩やどうしたらいいかわからない苛立ちなどが、とてもわかりやすく伝わるようなお芝居です。登場人物それぞれの個性がわかりやすく立っていて、それらがきめ細やかに展開していきます。観る人に優しい作りだなと思いました。また、ストーリーの濃度がとても高いです。全てのカットが役割を担っていて、そして分かりやすいです。アクションシーンもあるのですが、これは何回撮り直したんだろう、と思うくらいよくできていました。よくよく観てみると、VFXも使っていますが、本当に違和感がほとんどないレベルのもので、それも予算を削るためというよりは物語を鮮明にするために使われている気がしました。

いやー、良かったです。

この映画に巡り会えたのは本当にFilmarksのおかげです。自分と近い嗜好の方々のレビューを読むことができますね。

リアリティーの中に物語を生み出す、しかも家族という、日常的なシチュエーションの中に圧倒的な物語を埋め込み、整えることは、とても難しいことだと、物語を作っていたこともある自分は思います。

パンフレットの白石監督へのインタビューを読んで感じたのは、「この人はとてもクレバーな人だな」でした。映画におけるロケ地の選び方とか小物の使い方だとか、いろいろな事柄に、自己満足にならずに観客の体験を良いものにするための方法論を既に持っている感じがしました。
ロダン先生

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