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オペラ座 血の喝采 完全版のRitaのレビュー・感想・評価

オペラ座 血の喝采 完全版(1988年製作の映画)
4.1
性癖の暴力。

上演すると不幸を招くといわれる舞台劇『マクベス』。主演女優の事故によって主役へと大抜擢された新人のベティは、不安のなか初舞台の日を迎えた。そんな彼女の姿を執拗に追い続ける謎の視線が。その視線はとうとうベティのすぐ近くまで接近し、強制的に血も凍るような惨劇の目撃者とされてしまうのであった!

殺人犯はベティを縛りつけ、目の前でベティの関係者を殺していくという完全に性癖丸出しな犯人なんですが、それがまた最高なんですよね。殺人をベティに見せようと、目に釘を貼って瞬きをすると釘が刺さるという通称"瞬き針責め"というものをされるのですが、こんな発想普通は思いつかないだろうという期待に応えてくれる監督が面白い。監督の"目"に対する恐怖心がどの作品にも感じられますよね。

アルジェント監督の殺人シーンってどれも印象的なんだけど、犯人がドアの鍵穴から銃口を向けると鍵穴を覗いていたミラの目を弾丸が貫通し、そのまま受話器に直撃するという見事な2枚抜きのショットと響き渡る悲鳴が一番印象的。

犯人探しは難しいことはなかったんですが、犯人がイケメンということに過剰に反応してしまい謎にご褒美映画となってしまいました。ラストに静かに暮らすベティをアルプスまで追いかけてきた犯人。嬉いし最高なんだけどお前どこまで追いかけてくるんだよみたいな面白すぎて笑いとニヤけが止まらん。

アルプスに広がる草原。「私は他の誰にも似ていない」と言い、木の枝に絡まったトカゲを逃がして「これで自由よ」というシーンが好き。自分の母の愛をベティに重ねて求めていた犯人。私は私。他の誰かでは無い。

ヘビメタとスプラッターってなんでこんなにも合うんでしょうか。監督の作品の中でも一番特別で豪華絢爛でしたし、殺しのシーンもどれもド派手でした。犯人はよ捕まれよって気持ちとまだベティと犯人の追いかけっこを見ていたい気持ちとの葛藤があったのよ。

アルジェント作品特有の、執着心の塊な異常者が主人公を追いかけて来る訳ですが監督の作品で今のところ断トツで大好きです。初見で見るならアドレナリンドバドバものですよこれ。こちらの映画も「ホラー秘宝2023」で観に行ったのですが感動して2回観賞しました。ラストが最高過ぎて癖になります。💗
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