ゆう

デッド・ドント・ダイのゆうのネタバレレビュー・内容・結末

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ジム・ジャームッシュがゾンビ映画を撮って、ティルダもビル・マーレイもアダム・ドライバーも出てるなんて、もう観るしかないでしょう!
一度目は映画館で、二度目は家で観ました。
最初に観た時は、結構説教くさいなと感じた。消費主義社会の批判はロメロの「Dawn of the Dead」という傑作があるので目新しさはないし、話がとっちらかりすぎて真面目に説教してるのかどうかも怪しくてよく分からなかった。
二度目に観た時に思ったのは、たぶんこれ真面目に説教してないな、ということ。
監督のインタビューにもあるように、スマホを凝視して歩いてるゾンビ的な現代人への問題提起という面は確かにあるものの、それはこの映画の一つの要素に過ぎない。
というかむしろこの問題提起そのものすら、ロメロと「Dawn of the Dead」からの引用と考えてもいいかもしれない。
クリーブランドの若者たちの乗る車(「NotLD」でジョニーが乗っている車と同じ)、レッドネックス農夫のブシェミ(「NotLD」「DotD」両方でレッドネックスぽい農民が銃を持って登場する)、社会的強者である白人男性キャラクターがことごとく死ぬラスト(ロメロ初期三部作に共通する)など、ロメロ映画でどこか見たことのあるシーンを挙げていけばきりがない。
だから、この映画が多少説教くさく感じても「そうそう、ロメロもこんな事言ってたよね!」くらいのノリで思っておけばいいんだろう。
それよりも、ジャームッシュ独特のこのとっちらかった無軌道なストーリーを楽しむべき!
人外ティルダ様はまさかの「ゼルダ・ウィンストン」というふざけてるとしか思えないネーミングで胡散臭いスコットランド英語みたいな訛りで喋るし(たぶん本当のスコットランド英語ではない)、終盤はUFOに乗って飛んでいくというもはや笑うしかないトンデモ展開を見せてくれる。
アダム・ドライバーはといえばスターデストロイヤーのストラップを引っ提げてセレーナ・ゴメスの首を切断。ビルは自分の台本しか貰ってないから、常時アダムにイライラ。ロージー・ペレスとエスター・バリントも出てきて、もうセルフオマージュ全開。他にも色々あるらしいけど、ジャームッシュ作品をまだ全部観れてないから、分かるのはこれくらいかな。
まあ何しろジャームッシュがふざけ倒した映画です。消費主義批判が〜などと難しく考えず、ヘラヘラ笑いながら楽しく観たらいいと思う!
ゆう

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