ブタブタ

デッド・ドント・ダイのブタブタのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.0
2ヶ月ぶりの映画館。
大作・メジャー作はほぼ延期でこんな事がなければジャームッシュ作品をシネコンの大画面で見れる事はなかったでしょう。
今世界は本当にパンデミックの真っ最中ですが、その中でゾンビ・パンデミック映画を見るというのも中々ない体験。
ゾンビ✖️SFでトンデモ展開はスピエリッグ兄弟監督の『アンデッド』で、
ロメロへの言及やオマージュは劇中でもハッキリと言ってますが、寧ろ本作はルチオ・フルチ監督の(意図しない偶発的な)観念的で哲学的でシュールなゾンビ世界の影響が濃厚な気が。
ロメロ・オマージュに関しては、地球の自転がズレてそのせいで死者が蘇るって『ゾンビ』の日本公開版、日本側が勝手に付けた?「謎の彗星の爆発で放射線が地球に降り注ぎ死者が蘇った」て無理矢理こじつけ設定のパロディだと思う。
ロメロ『ゾンビ』の大ヒットにより全然関係ないのにそこに乗っかろうとして多数のパチモン・ロメロゾンビ風映画が作られた中でも、その残虐度グロテスク度は『ゾンビ』を超えて全く違う方向に振り切れて且つ最後は最早ブニュエルもかくやのシュルレアリスムとなった『ゾンビ2』こと『ゾンビ』と並ぶ大傑作『サンゲリア』
更に関係ないのにタイトルは『ゾンビ3』
ゆる~いゾンビの動きや緊張感のなさと人間達の余りの間抜けさ、底抜けボンクラ映画の極みでカルトとして支持され愛されてますが、本作のボンクラ具合は無数にあるボンクラ・ゾンビ映画のテイストをジム・ジャームッシュ監督が本気で、超豪華キャストによりハイクオリティ?ゾンビ映画に作り上げた、其れこそに最大の意味があるんじゃないでしょうか。
ティルダ・スウィントンの謎の葬儀屋女剣士は黒づくめの喪服の立ち姿や超然とした雰囲気などフルチ『ビヨンド』の犬連れた盲目のエミリーみたいでやはりフルチ映画みたい。
あの阿呆らしいシュールな退場の仕方とかも。
トム・ウェイツの森の世捨て人ボブも何か達観した様な事を語ってたり最後は助けに来てゾンビとバトルかと思いきや何にもしない。
いかにもな若者3人組も少年院脱走した少年少女3人組も何だったの?と思う位の投げっぱなし。
本国版ポスターは登場キャラクター達の後ろに月をバックにイギーポップのゾンビがでっかくまるでボスキャラみたいに立ってて超かっこいいんですけど出番はアレだけという(笑)
『リーサルウェポン』シリーズやプレデターすら倒したダニークローヴァーも全く活躍しないし、この辺りの豪華キャストの無駄遣いは逆にすごい。
見る前は福満しげゆき『就職難!!ゾンビ取りガール』みたいなゾンビ発生後も普通に社会はあるし、其れに対処するのは公務員、お巡りさんみたいな緩~い日常系ゾンビかと思ってたら意外と真っ当なゾンビ映画だった。
それと何故か『ゾンビランド』を絶賛してる方々は本作を酷評してて、逆も然りかと思ったらやはりそうだった。
自分は『ゾンビランド』が全然ダメなので。
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