カルビ

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのカルビのレビュー・感想・評価

3.5
拝金主義者 vs 文学を愛する者たち

本作に登場する人々は、相対する2つの立場に分けられる。1つは、文学への敬意を失い、金儲けの道具として扱う立場。もう1つは、文学を愛し、その価値を守ろうとする立場である。

僕は特に、エリックの助手であるローズマリーの心情の変化に魅せられた。彼女は当初、エリックの立場に沿い、金儲けを中心に物事を進めていた。しかし、翻訳家たちと出会い、交流を深めることで、「文学を愛する自分」に気がつく。その後に描かれる彼女の英断は、誠に痛快であった。

『オリエント急行殺人事件』的プロットと、フランス映画らしい洗練された雰囲気。大満足の映画体験であった。
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