えいこ

わたしは光をにぎっているのえいこのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
3.7
湖面や波に象徴される詩的な映像が美しい。「自分は光をにぎっている」山村暮鳥の詩のフレーズが繰り返される。主人公の澪の口数は少なく、音楽もほとんどない。ナレーションもないとにかく静かな作品。
再開発でなくなっていく古い街やコミュニティを郷愁を誘う画面でひたすら映していく。監督はドキュメンタリーとしても街の記憶を刻みたかったのではないか。

やりたい仕事ではなくできる仕事。目の前のことをひとつずつ。終わらせ方はとても大事。ちゃんと終わらせましょう。松本穂香はまるで巫女のよう。光石研の佇まいも安定感。澪の目を通して私たちは街や人を見る。いつもくたっと佇んでいた澪が、最後、真っ直ぐに歩いていく後ろ姿に励まされる。

これだけ静かに魅せる映像の中で、銀次や美琴との会話には違和感。映像詩に寄っており脚本には若干のちぐはぐさが残る。
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