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わたしは光をにぎっているのヨウのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
4.4
純度100%の”良い”映画を観たのは久方ぶりかもしれない。一歩引いたような視線から映し出された悲哀いっぱいの機微が胸の奥底にまで突き刺さる。古きを壊し新しきを量産する。現代日本の腐敗した文化の土壌を垣間見て言葉もない。場所の死こそ本当の死。誰も逆らえない時代の趨勢。でもたしかなことがある。私たちは光をにぎっている。その真実を力に少しずつ進めばいい。人間だけに与えられた言葉と繋がりの偉大さを信じて。美しさ際立つ水辺の描写、物悲しい人間模様、同じ傷を負う者たちの共鳴、遠くから包み込んでくれるような包容力、一寸先の未来へ贈られたメッセージ。繊細に磨き上げられたピースの一つ一つが素晴らしい傑作を生み出してくれた。中川龍太郎監督に感謝しかありません。
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