自分は光をにぎつてゐる
いまもいまとてにぎつてゐる
而もをりをりは考へる
此の掌(てのひら)をあけてみたら
からつぽではあるまいか
からつぽであつたらどうしよう
けれど自分はにぎつてゐる
いよいよしつかり握るのだ
あんな烈しい暴風(あらし)の中で
摑んだひかりだ
はなすものか
どんなことがあつても
おゝ石になれ、拳
此の生きのくるしみ
くるしければくるしいほど
自分は光をにぎりしめる
一人で沸かした銭湯の湯に触れた時、手には確かに光がそこにあった。
きちんと終わらせる。
終わりが来ることに、それにはもちろん少なからず未練はある。しかし衰退していくのではない。きちんと終わりを迎えるのだ。
死守せよ、そして軽やかに手放せ。
根気も意思もない現代の女の子が自分の力で始まりを作るありきたりな成長物語だけではない。
この世界には優しい人しか出てこない。