EDDIE

今日から俺は!! 劇場版のEDDIEのレビュー・感想・評価

今日から俺は!! 劇場版(2020年製作の映画)
3.8
ドラマ版のいいところをそのまま活かし劇場版も笑い声が絶えない絶妙なコメディに。北根壊との全面戦争は劇場で観てならではの迫力。原作ファンとしては柳のイカれ具合を柳楽優弥が見事再現していたのが嬉しい。ただ冗長なコントは余計かな。

テレビドラマ版も全話観ており、基本的に原作に忠実で私の大好きな今日俺を現代に呼び戻してくれた点に関しては、福田雄一監督に感謝の思いでいっぱいです。
特にキャスティングは全員が絶妙で、主要キャラはもちろんのこと、開久の面々などここまで原作の雰囲気を壊すことなく作り上げたことに喜びの気持ちでいっぱいです。
だからこそ佐藤二郎やムロツヨシらの無駄なコントがあまりにもしんどい。もちろん劇場では彼らのコントで笑いに包まれていたことは否定できませんが、映画としての流れが完全に断ち切られるので、早く次に進んでくれという想いでいっぱいでした。
原作通りの三橋と今井のやり取りを中心として、笑い取れるところは彼らのコントに頼ることなく爆笑できるシーンはたくさんありました。だから本筋と関係ない彼らの自由時間には我慢なりませんね(俳優としての佐藤二郎やムロツヨシは好きなんですが)。ドラマ版でも唯一乗れなかった部分がここなんですよね。

さて、苦言は言いたいだけ言ったので原作愛と絡めて本作についてレビューさせていただきます。若干ネタバレ要素もあるので、未鑑賞の方はお気をつけください!



◆キャスティングが絶妙
ドラマ版含めてこれは素晴らしいですね。正直今井はもっと体格のデカい人に演じてほしかったのが本望ですが、仲野太賀は今井のバカさ加減まで見事全力で演じています。
劇場版の森川涼子は原作イメージとしてはもっとスラっとした美人なお姉さんなんですが、山本舞香が彼女のスケバンっぷりをパーフェクトに演じていました。山本舞香自身がスケバンなんじゃないかと疑うレベルでしたね。ただ演出面の問題なんですが、涼子が今井を竹刀で殴った時のしなり具合が明らかに柔らかいおもちゃのようなしなり方したのが気になりました。
三橋役の賀来賢人、伊藤役の伊藤健太郎は2人の性格的なところまでしっかりと再現しているし、谷川役の矢本悠馬は谷川そのもの。京子役の橋本環奈はイメージと一番かけ離れているんだけど、まぁ可愛いから許されますよね。ちょっと化粧白すぎるけど…笑
そして何よりも理子役の清野菜名ですよね。数ある女優の中から清野菜名を抜擢したのは言うことないです。主要キャラの中で唯一ヤンキーではない真面目な美少女ながら、合気道に精通した強さを清野菜名得意のアクションで至高のキャラに仕立て上げています。原作に一番忠実に再現して文句なしなのは清野菜名です。ドラマ版でも劇場版でも共通して気になったのは、肝心の開久との全面戦争に常に理子や軟高のツッパリたちがいる点。唐突感があるし、必然性がないので不自然に思えるシーンです。理子のアクションが観れるのは嬉しいんですが、やはり本筋と関係ないところからひょっこり現れるのは意味不明ですね。

◆柳楽優弥の完璧な悪役っぷり
原作北根壊高校の番格・柳鋭次。彼のパーソナリティの魅力はあまりの人格の変貌っぷりにあります。全面的に相棒の大嶽に任せるしたたかさを見せながら、出て行くところでは大嶽を凌ぐレベルでの暴れっぷり。狂ったかのような彼の残忍性も含めかなりの演技力が試される役ですが、柳楽優弥には演じられない役なんてないんですね。カツラのロン毛だけは若干違和感ありましたが、本作での重要人物なだけに彼がハマり役だったのはとても嬉しかったです。原作伝説の三橋の卓球ラケットも再現してくれたし、まさかまさかの開久の彼との対決という原作ではなかった要素を加えてくれたのは嬉しかったですね。


個人的に劇場版で再現するならサイパム編や軽井沢編、京都修学旅行編など、もっと劇場版ならではのスケールアップした内容にしてほしかったのが本心です。
面白かったけど、北根壊編はスペシャルドラマレベルだなぁと。
開久の智司役の鈴木信之や相良役の磯村勇斗もとてもいいキャスティングですね。特に磯村勇斗は原作の相良の狂犬っぷりを見事に再現してくれていて、理子と並ぶ原作通りの配役で大満足。

全体的に満足度は高いですが、やはり原作にないサブキャラたちが物語の流れを断ち切っており気になった点。スコア4.0には及びませんが、キャスティングで加点している感じです。
映画として観ると正直観るに耐えないかもしれませんが、原作漫画をある程度忠実に再現しているところは評価に値します。

※2020年劇場鑑賞81本目
EDDIE

EDDIE