るめ

17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン/キオスクのるめのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ずっと公開を心待ちにしていた映画。
コロナの影響で半年近く映画館に新作を見に行けていなかったので、なおさら期待に胸をふくらませて観にいきました。

時代が時代ということもあり、悲しく、つらい展開になるのだろうなと思っていたし、事実そうではあったが、フランツの現実と妄想のギャップなどは面白かったし、初恋の切なさ、難しさも詰まっていた。
基本的に、洋画の邦画版タイトルは原作の良さを損なうものが多いなと感じて好きでは無いのだけど、近年のドイツ語映画の邦画版タイトルは秀逸なものが多いと感じる。この映画も、まさに「17歳のウィーン」というタイトルがとてもあっていたと思いました。

17歳のフランツは、はじめは不安定であか抜けきらない印象の少年だったが、母との別れ、新たな人々との出会い、初恋、大切な人たちとの離別を経て、見事青年になっていくのが、非常に良く描かれていた。
「坊や」と呼ばれるごとに「フランツです」と返して、一人前の人間に対する扱いを(意識しているにせよ無意識にせよ)要求していたフランツが、最後常連客の教授夫人に「フランツ」と名前で呼ばれた瞬間、ああ、この子は大人になったんだなと、嬉しくもあり、同時にならざるを得なかった過程を思い、涙が溢れた。
フロイトはもちろん、店主のオットーも非常に素晴らしい人物で、フランツはとてもいい大人たちに出会い、導かれたのだなと切なくなった。

また機会があれば、今度は自宅でじっくりと鑑賞したい映画でした。
るめ

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