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クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代のnonのレビュー・感想・評価

3.4
クリムトだけ、というより、ウィーン黄金時代のドキュメンタリー。

クリムトの絵画についての知見を深めたいと鑑賞したが、想像とは違かった。
途中で止めようとしたが、なかなか面白い。
最後まで見た感想は、むしろ多くのことを知ることができて満足。続けて2回観てしまった。

クリムトとエゴンシーレの生きた時代、当時のウィーンの時代的背景を紹介している。

クリムトは、富という仮面で偽りを隠す保守的なウィーン美術界から、本物を求め、分離派を形成し、皆を新世界へ連れて行った。クリムトの作品は、人間は写実的に描かれているが、洋服や背景は装飾的であり、洗練された中に現代的な新しさ、スタイリッシュさを感じる。クリムトの作品のある美術史美術館に行ってみたい。

エゴンシーレの絵画。彼の絵をみると心がざわつく。人間の多様性を表しているからだ。観るものの中に、人には見せたくない、汚い、いやらしい感情を思い起こさせる。自分の中にあるものを彼の絵画に見るから惹かれるのだ。

ウィーン黄金時代の
音楽、精神療法、芸術、哲学。

人々が自分に向き合う時、何に着目するかはそれぞれ違くても、直面するのは「不確かさ」である。

当時も現在も同じだ。
人間が、生きていると直面する「不確かさ」の答えを様々な角度から捉えようとするが、答えは出ない。人々は音楽、精神療法、芸術、哲学を通して、答えに近づくことができるような感覚をもつ。答えは出なくても、模索しながらも、気づきや学びを得ることが、生きる意味=成長なのではないか。

クリムトと、エゴン・シーレの作品から匂い立つ官能性と死生観。彼らの生きた時代背景と作品を通し、人生とは何か、考えさせられた。
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