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パラサイト 半地下の家族のKentaのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.2
第92回アカデミー賞4冠受賞に加え、その他賞レースもかっさらう秀作。アジア作品で今までにない快挙を成し遂げた今作。
一度で全てを理解することは難しく、何度も観て様々な角度から鑑賞することで、より面白さを追求できるスルメ映画でもある。

韓国の半地下で生活をするキム一家。彼らは皆職がなく、家族でアルバイトをしてなんとか生活をしていた。
ある日、一家の1人のギウは親友のミニョクに相談をされる。それは、ミニョクが海外留学している間、パク家の娘の家庭教師を代わりにやって欲しいというものだった。仕事はないが、大学試験に落ち続けているギウは依頼を受け働くことにする。
そして、ギウは一家のギジョンの力を借り、自分の身分を誤魔化しパク家の豪邸へと足を運ぶのだった…。

トントン拍子の前半からの衝撃の後半。
ギウの家庭教師バイトというきっかけから、計画的に寄生(パラサイト)していくキム一家。そして、パク家の家政婦までも乗っ取ってしまう。そこまでの流れからの急展開。そして、衝撃のラストまでの疾走感。とても見応えがあり、常に画面から目が離せない良作となっていた。

広義としての"格差社会"映画。
韓国の生々しい情勢を踏まえたうえで鑑賞するのがベターだろう。鑑賞当時はそのことについて全く知らずに鑑賞していた。韓国の半地下があまり珍しくない光景であることや就職難が異常であること、大学受験で4浪、5浪などざらにあるということ等々。それを土台とし、内容も構図もカメラワークもなにもかも、監督の思うがままに格差を表していく。韓国の情勢を軽く理解したうえで観るとなお面白いかもしれない。

巧妙な伏線や仕掛けも数多く、観れば観るほど気付ける何度観てもおいしい作品だった。コミカルな始まりで楽しい開幕だが、最後の最後にはどこか悲しく儚い気持ちになる。ポン・ジュノ監督は今作を機に一気に注目が集まることになったが、これで次作はどう出てくるか期待したいと思う。
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