えふい

イソップの思うツボのえふいのレビュー・感想・評価

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)
3.8
『カメラを止めるな!』で一躍名を馳せた上田慎一郎監督。
およそ無名だった彼の全国ロードショー一発目が大ヒットを打ち立てた、という境遇はどこか新海誠に通じるものがあり、そんな二人の新作が同じ年の夏に公開されるというのはなにやら運命的でもあるが……。
閑話休題、否応なしに"カメ止め的なもの"を求められるであろう監督の答えやいかに。
第一印象としては、なかなか挑戦的なものを送り出してきたなぁ、というものだった。
"カメ止め的なもの"といえばそういう演出もあるし、後半のネタバレ展開もそうだ。しかし本作はあちらほどスッキリした爽快感というものはなく、終始モヤモヤした気持ちがつきまとっていたのだ。えらくサスペンスな作風に寄っていったな、と。
作品全体のトーンを考えるとそれも意図的なものと解釈したが、ここが本作の評価が紛糾している理由なのだろうとも思う。私はそれはそれ、これはこれで楽しませてもらったが。
今作はどこか社会風刺的な演出(いささか陳腐だが)も織り込みつつ、『カメ止め』とは異なるアプローチで構成されている。そういった意味では、次なる作品でいかなる作風を打ち出してくるのか。興味はつきない。
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