広島から岩手まで移動したようには見えなかったな。
作業着のおっさんが平日の昼間に制服姿の女子高生をミニバンに乗せていたら、かなりヤバいと思う。
ドロドロの靴、洗って乾かす時間なんてないのに、なんで水たまりに入っていっちゃうかな。
自然すぎるくらい自然なところと、不自然なところが混在していて、それがよいほうへも悪いほうへも転ばない、不思議なバランスでこのロードムービーは進んでいく。出てくる俳優の発声のしかたもバラバラだ(西島秀俊の声は特に浮いている)。が、それも別に悪いわけではない。泣いたり叫んだりもするけれど、白々しくはならない。
いないひとの、もともといなかった、いまはいない家族への思いが、映画の中にしっかりと存在しているということ。それだけは確かなことのように思えた。だから、この映画のことをあんまり悪く言う気持ちにはなれない。