風の電話の作品情報・感想・評価・動画配信

「風の電話」に投稿された感想・評価

リンゴ

リンゴの感想・評価

3.6
ドキュメンタリーであるし、ロードムービーでもある。
俳優も自然な感じに溶け込んでいるような感覚。
最後の電話ボックスで家族と向き合う姿は感動。
『#風の電話』(2020/日)
劇場にて。鑑賞しながら、仏教説話の「子を亡くした母への教え/キサーゴータミー」を思い出しました。亡き人へと通じると云われる「風の電話」への主人公の旅路から「深い悲しみの向こう側にあるもの」を描いた物語。

あらすじ。東日本大震災から8年。家族全員を震災で失い、今は広島で叔母と暮らす17歳の少女ハル(モトーラ世理奈)。喪失の痛みの上に時間が積もり、日々が過ぎていくと思われたが、ここでもハルを動揺させる事態が起きてしまう。ふたたびの喪失の不安から、ハルは衝動的に宛ても目的もない旅に出る。

感想。彷徨うように旅に出たハル。そんな彼女が出会う人達の姿や語られることから、彼女がなにを感じるのか、が大きな縦軸。人々はハルの境遇に胸を痛め、その身を案じながら、それぞれの距離感と価値観で彼女と接する。

彼らはみな、ハルよりも過去に、深い悲しみや、自分の力ではどうしようもない理不尽に出会ってきた「普通の人々」。その悲しみや苦しみを味わってなお、みな生きている。そして今まさに悲しみ苦しんでいるハルを気にかけている。

彼らの行い、それ自体が「深い悲しみの向こう側にあるもの」なのだ。ハルは故郷に足を向け、さらに「風の電話」を知る。ハルは「風の電話」でなにを話すのか。さらに、その道行きでハルが出会う「深い悲しみを持つ者」に彼女はどう接するのか。ここにも旅の答えが見えると思いました。感想オシマイ。

#2020年上半期映画ベスト・ベスト主演俳優
・モトーラ世理奈/『風の電話』
深い喪失と悲しみを抱えた少女が、旅の果てに辿り着いた「風の電話」。旅で出会った「それでも生きている」人々から彼女はなにを得たのか。最後の全編アドリブの会話シーンは心を打たれました。
oki

okiの感想・評価

3.5
西田敏行の演技が凄かった!
アドリブも多いせいか、とっても自然ですごくリアリティを感じた。天国に通じる『風の電話』私もかけてみたい꙳★*゚
オレ様

オレ様の感想・評価

4.5
やっと見れました。
あーこんな邦画が見たかった。

ドキュメンタリーを見ている様な、切り取り方が面白い。でもどうしたって西島秀俊が映った瞬間映画らしくなる。実力派俳優と自然体なモトーラ世理奈ちゃん、一般の人々が溶け込むこの世界観は見ていて新鮮。
サウンドデザイン的な面でも
彼女が苦しむシーンではカメラマイクなのかワイヤレスマイクぎゃんぎゃんなのか、ちょい割れた音を使ってたのも面白い。
ビデオカメラで切り取ったような映像が彼女の痛みをありありと映し出し、見ているこちらも苦しくなった。
所謂映画らしい音ではない音に、するっと注ぎ込まれるこれぞ劇伴だー!というような世武裕子の音楽。しかし劇伴らしさが、映画らしさのこじつけになっていない。寧ろ彼女の音楽がこの映画と私たちをごく自然に繋いでくれている。彼女の優しい声諸々素晴らしいです。

あーとっても良い映画を朝から見たー。幸せだー感謝。
傷を負った人達に会うことで主人公も自分の傷と向き合えるような映画だった
「何も見えないけど電話の向こう側に相手がいるように感じる、何も聞こえないけど電話の向こう側に伝わっているよう感じる」このように心の癒しにとって最も重要な「感じる」という感覚は、人間の持つ感性と想像力で心がそう受け取っているということであり、何物にも代えられない心のメッセージなのだ。(ベルガーディア鯨山 2021年3月8日投稿「心の傷は誰が治療するのか」
俳優達の即興で作り上げた作品らしく、それはまさにドキュメンタリーの様でとても自然。
この映画は、ラストの風の電話のあのラストシーンが撮りたくて、主人公・春に沢山の人達の愛情に触れさせる旅をさせたかのよう。
実力派俳優達の即興芝居は、どれも素晴らしくて、心に沁みた!

思い出してあげるのが供養だとよく言われるが、思い出すためにも、私も生きていたい。
Mizu

Mizuの感想・評価

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3.11震災孤児の話。悲惨な苦しみのなかで出会い、心をほぐしていくハルの姿がまさに復興なんだなあとしみじみ感じた。
呉の街景色が綺麗!
岩手から呉まで車で行ったことあるから、
遠さがよくわかる。また時を超えて故郷へ、そしてもう会えない人へ、風の電話を🍃📞。。。
ゆったり進むし声小さいけど、じっくり見ていると味の出てくる物語だった。
初めて映画でのモトーラちゃんが、とにかく可愛くて儚くてずっと見ていられた。。👼🏻
ハルというキャラクター像に「日本」を背負わせて再生(復興)の旅に繰り出させる安易な作品ではなく、無数にあるうちのいくつかの「傷」をピックアップして丁寧に追いかける実直な作品であるようにおもえた。庭に転がるしぼんだボールの如く決してもとの形にはもどらない可塑的な心の有り様を「ロードムービー」の装いのなかでサポートする諏訪敦彦演出&ベテラン俳優陣の演技の安心感といったら。ハルが"残骸"のうえで横たわりながら水辺に両足を突っ込んでいるショットがミレイの『オフィーリア』(女性が川に浮かんでいる絵)を反転させたような美しい構図でやけに胸を衝く。……ハルと同世代の人間として色々と考えられることはある。でもそれを言葉にすることが出来ない。言葉にしたところでその出所が自分ではあまりにも説得力がない。この先、この不明瞭な気持ちが晴れる決定的な瞬間が訪れるとすればそれはそれで最悪だ。どちらにしても今は、こうした映画等の作品を通してでしか想いを馳せられない。2時間19分のあいだだけ、自分はハルになれた。この文章を書いているときも、どこか頭の片隅にその切れはしが淡く残り続けてくれている気がする。
たくみ

たくみの感想・評価

3.8
東日本大震災をその後を描いた作品。
見ていて苦しくなる描写が多かった。
でもその中で人々の優しさに触れ、徐々に前向きになっていく主人公を丁寧に描いていると感じた。

被災後、一人だけ取り残された春香が一緒に暮らしている広島の叔母がいるのだが、ある日倒れてしまう。
幸い叔母は助かったが、春香は失意のまま実家を目指す旅を始める。
その旅で出会う人々はみんな優しくて心温まる時間だった。

自殺した家族を思いながら暮らしている公平とその母親、新たな命に心弾ませている夫婦、福島で被災した森尾、などなどたくさんの人たちと出逢うのだが、全員春香を前向きさせてくれる優しさを持っていた。
特に森尾との会話の重みはすごかった。
森尾も家族を津波で失っており春香と同じ境遇なのだが、生きる意味を春香に教えるシーンには強い信念を感じた。
「自分が死んだら誰が家族の事を思い出してあげるのか」という言葉が特にそれを感じた。
残された人間が思えばその人の心の中で家族は生き続けるという風に自分は解釈したのだが、本当にその通りだと感じたし、それが残された人間の宿命なんじゃないかと思う。
被災者の方々だけでなく、生きる人全てに当てはまる素敵な言葉だと思う。

この映画を通して印象的だったのは春香の葛藤だった。
家族は津波で亡くなったのかと聞かれた際、「まだ見つかってない」と言い直しているシーンがあり、まだ家族が死んでしまった現実を受け入れられていないような気がして心が締め付けられた。
その後実家の跡地(津波の影響で建物は既に残っていない)に帰ってきた際も、ただいまに対する返事が無い事に泣き叫ぶのだが、これも現実を突きつけられてまだ受け止め切れていない様に見えた。
既に震災から相当時間は経っているが時間が解決してくれること無く、深い傷になってしまっているのだなと感じた。
それほど震災は深い爪痕を残している事を突きつけられた気がして目をそむけたくなった。

ラストのシーンこそがこの映画が本当に伝えたかったことだと思う。
他の方もレビューで書かれているが、ラストの風の電話で家族と話すシーンは春香を演じたモトーラさんの全編アドリブ。
まだ見つかっていない家族は3人で仲良く海の中や空の上で暮らしていると信じて、まだ自分はそっちには行けないから待っていてねと伝えるシーンは前に進もうとしている意思が感じられた。
このシーンをみるだけでも風の電話がどれほど被災された方々の心の拠りどころになっているのかが伝わってきた。

多くの人に優しく寄り添っている風の電話を教えてくれたこの映画は本当に素晴らしかったです。
忘れちゃいけない、絶対に。
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