虎舞羅ーコブラー

るろうに剣心 最終章 The Finalの虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

4.8
人気実写化シリーズ、「るろうに剣心」の最終章である二部作の一作目。

4DX上映にて鑑賞。
個人的に大好きなシリーズだったので、映画館で体験できた事が嬉しくて堪りません。今作の4DX上映では、まるで自分が戦っているかの様な座席の激しい動き、斬られたと錯覚するかの様な振動など、あまりの臨場感に驚愕しました。ですが、その圧倒的な臨場感によってより深い映画体験を出来ましたね。ただ血飛沫のシーンで水をかけられたのは…、衝撃的すぎて思わず笑ってしまいました。

今作はシリーズの中でも一番"ドラマ"と"アクション"のバランスが取れていたように感じます。
自身が生み出してしまった最凶の敵である雪代縁に罪悪感を抱く剣心と、そんな剣心を更に追い詰めようと彼に残酷な復讐を繰り出す縁。その最悪な関係性によって、これまでよりもレベルアップしたアクションと、アクションに引けを取らない上質で重厚なドラマが展開されていきます。
剣心が最も苦しむ弱点である、“周りの人々に危害が加えられる”という事に漬け込む縁。原作よりも短くまとめられていて、少々急ぎ足のように感じる部分もあるかもしれませんが、剣心の葛藤と縁の憎悪、そしてそこから生み出される感動を上手く表現出来ているように感じました。何よりも佐藤健さんと新田真剣佑さんの演技の一級品さが、この作品を更に素晴らしいものに昇華させているのではないでしょうか。

アクションで言えばシリーズ1…いや、邦画史上No.1クラスの完成度だと思います。
「伝説の最後編」から成長し更にスピーディーに的確になった剣心のアクション。飛天御剣流奥義である天翔龍閃や九頭龍閃を巧みに使いこなしたソードバトルには心を奪われます。
そして一撃が激しく重く、そしてスピードも兼ね備えた縁のアクション。終盤の倭刀による斬撃と、飛び膝蹴りや殴りによる打撃を織り交ぜたファイトスタイルは、ラストのバトルシーンにさらなる緊張感と興奮を与えてくれます。それに説得力を与える筋肉質な新田さんの肉体も印象的でした。

シリーズの集大成として、これまでのアクションを彷彿とさせる技の数々も、健さんと新田さんをはじめとする役者陣の演技までもが素晴らしかったです。
このシリーズの締めくくりとなるThe Beginningも、必ず見届けようと思えました。
こんなに素晴らしい作品を作ってくださった皆さんに、そして興奮と勇気を与えてくれた剣心に、“ありがとう”という言葉を伝えたい。そう思いながら、私は溢れる涙を拭いた。