ナメール神

スマホ拾っただけなのにのナメール神のレビュー・感想・評価

スマホ拾っただけなのに(2019年製作の映画)
4.1
令和初映画を何にするか悩んでいたところ、ツイッターで心ないフォロワーにこの映画を見ろと脅されてこの映画を新元号初の記念すべき映画として見ることになった。

この「スマホ拾っただけなのに」、名前でわかる通りこの前流行っていたあの映画のパクり低予算映画である。TSUTAYAで一時期やたら広告が流れていたのでご存じの方も多いかもしれない。
さて、このアイアンマンに対するメタルマン、トランスフォーマーに対するトランスモーファーに位置するような目に見えたクソ映画。
見える地雷を何故人に踏ませようとするのか?自分は何か悪いことをしたのか?そう思いながら重い足取りでTSUTAYAで赴き、新作料金400円も払ってこの映画を借りてきた。

結論から言うと、滅茶苦茶面白かった。決してジャケット裏面で誇張表記してあるようにホラーとして優れていたとかいうことは当然無かったが、この手の低予算パロディ映画としてはかなり出来のいい作品だと思う。
話もけっこうよくできていて、未視聴者の方にはネタバレ抜きで見てもらいたいので内容の詳細は省くが、ちょうどこの前流行ったあの映画に似たような話になっていた。個人的にはこっちのほうが面白いと思う。

こんなカスみたいなタイトルの三流パロホラークソ映画にネタバレも何もあるか?と思った方も居るかもしれないが、騙されたと思って一度見て欲しい(まぁ打倒に準新作くらいになってからで)。
とりあえずネタバレしない範囲内で適当にいいところと悪いところをなるだけ客観的に挙げて終わりにしたいと思う。


いいところ
・面白い
驚くべきことにこの映画は面白く、序盤のz級ホラー映画世界共通の特有の青春パートや無駄なギスギスパートが退屈で些か苦痛なものの、今作の敵キャラの老夫婦(パッケージで鉈とかチェーンソー持ってる人たち)の家に入り込んでからはずっと面白いと思う。
・演技がいい感じ
主人公たるオタク三人衆は見るからにリアルでもオタクそうな男たちで役柄のオタクにいい感じにハマっており、敵の老夫婦も年の功なのか当然演技が上手く、全体的に演技の質はよかったと思う。自分は邦画は基本所謂クソホラー映画しか見ないのであまり役者を見る目に自信は無いが、オタクたちはかなり等身大な感じがしていいと思う。


悪いところ
・これはホラー映画ではない
コメディ映画、よくてサスペンスの部類であってこれをホラー映画というのは間違いだと思う。でも洋画でも最終絶叫計画とかあるし、これでいいのかもしれない。
・チェーンソーの刃が動かない
絵面のインパクトのためにチェーンソー出したろ!って魂胆でチェーンソー出したんだろうけど、これなら老夫婦揃って獲物は鉈とか山刀にしたほうがよかったと思う。けっこう頑張ってるこの作品唯一の確実に手抜きと言えるシーンだ。でも正直これはこれで笑えるからいいと思う。


低予算、便乗パロ映画特有のしょうもない企画から始まったであろう作品ではありますが、クオリティ自体は決して低くなく関係者たちの熱意は確かに感じとれる佳作。
地雷臭のするタイトルやパッケージで食わず嫌いせずに、ぜひチャレンジして欲しい。

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