ぶっちゃけ女子トーク映画。とっても下品なのに観終わると凄く上品な物語だと気付く。
青春を放棄してきた女子が卒業式前夜に今までの分を取り返すために夜の大冒険に出る。
レディバードと似た話で出演者もかぶってるし瑞々しい系かと思いきや、ぶっ飛び爆笑学園ものだった。しかし、急に最高に瑞々しい繊細な美しさを見せつけてくる瞬間があるので、感情がジェットコースターのように乱降下した。
男子が主人公だと、バカ映画で女性蔑視的な話になるのに女子が主人公だと、社会派ジェンダーものになるという逆転現象が起きる不思議なジャンル。
しかし監督は、しっかりと様々なジェンダーのモチーフを刷り込ませて、現代の映画として完璧な平等性を保たせた。最初はコメディなのだが、観ていくと「ハート・オブ・イット」のように悩めるティーンエイジャー達の繊細な性の悩みを優しく描いている。女性にしか分からない細やかな心理を感じとることができた。
ステレオタイプに陥らない見事な性格描写と個性豊かな爆笑キャラの融合によって、新たな時代の青春コメディの在り方を決定付けた一作に思える。こういった下ネタ映画が社会派として成立するという奇跡の雛型だ。
この監督の新作がスパイダーガールというのも衝撃的。楽しみすぎて今から妄想が止まらない。新しい才能に出逢える素敵な映画です。
