くろさわ

罪の声のくろさわのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.0
単純なサスペンス映画ではなく、未解決のまま時効となった実際の事件をモチーフにしたフィクション作品。フィクションとはいえ、あまりのリアリティの高さにこれが真実なのではっと考えさせられる。

ある日、35年前の未解決事件を追うことになった新聞記者と偶然35年前の未解決事件と関わっていたことを知るテーラーの物語。事件の犯人はだれなのか。なぜ事件に関わることになったのか。そして、事件に関わった他の人はどうなったか。

まずキャストが素晴らしかった。主役の2人はもちろん、小栗旬の上司となる松重豊、古舘寛治の頼りになるいい上司の加減が素晴らしかった。力任せに押し付けるよりもお互いの信頼関係が見えた。そして、16の証言者たちのリアリティの高さ。登場するすべてのキャストが素晴らしかった。

上映時間182分はみる前長いと思っていたが、実際みると長く感じなかった。むしろ、多くの情報をうまく連携させてこの時間で整理できたことがすごいと思う。

自分はこの基となる「グリコ・森永事件」を今作を見るまで知らなかった。しかし、見終わった後に読んだ監督のコメントにもある「彼らが信じた正義によって犯罪に巻き込まれた罪のない子供たちがいて、彼らの未来がどうなったのか。」このメッセージについては、深く考えさせられた。

ニュースで事件を見ると犯人が注目されるけど、実はメディアにもあまり写っていない被害者もいる。
世界を変えたいとしても、自分の行動が誰にどこまで影響するのか考えなければならない。事件を起こす人はやはり視野が狭いと思う。