まみろん

罪の声のまみろんのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
5.0
気がついたら、6回ぐらい観ていました。イントロから引き込まれ、点と点をつないで線を引いていくような流れがラストまで続き、見応えはあるけれど決して長くはない142分でした。墓場までもっていくような秘密を抱えて生きていくのは誰だって苦しい。そんな罪の声に耳を澄ませ、声の罪を共に背負う覚悟ができたとき、深淵に一条の光が差し込み、救いが訪れました。よく練られた脚本でテーマが掘り下げられ、問題提起だけに止まらず、解が提示されていたことも好感がもてました。また、静かな熱演によりシリアスな物語が進行していく中、時折クスッと笑えるシーンが挿入されるなど、配役、演出共に素晴らしかったです。さらに、小道具の使い方が秀逸で、映画を構成する様々な要素が高度に調和していました。
現在に鑑みても、時代が移り変わるとき、その時代を象徴するような事件が起こるのは歴史の必然かもしれない。たとえパンドラの箱が開いたとしても、各々がそれらと真摯に向き合えば、物事は良い方向に変化していくのではないか。そんな希望がもてる作品でした。流行り廃りに左右されないブリティッシュスタイルのスーツのような映画、また作ってほしいなあ。ぴったり合うものは美しいから。
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