DESK

罪の声のDESKのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.4
初めて脚本家狙いで映画を観ました。
かなり大きく期待してしまったので、観た結果は少し残念でした。非常に強い原作なので、野木さんの個性が出しにくかったかな?

作品の感想としては、"大統領の陰謀" 的なリアルな取材シーンで繋ぐ構成が渋くてGood、"砂の器" 的な 「さあ、ここで泣いて下さい」邦画的ベタベタも無くて良かったです。が、声を犯罪に使われた主人公の苦しみ・心情もエンタメとして被害者に関わらざるを得ないジャーナリストの葛藤の描写も深みが感じられず残念。これは星野源や小栗旬の責任ではなく、本作が実写向きのストーリーではないからではないかと。読者のイマジネーションで幾重にも膨らませられる小説に対して、俳優の表情や過去譚の再現シーンに頼らざるを得ない映像作品は、重いテーマだけに叶わない感じがします。

この事件は当時実際に、犯人がクレバーそうなのに下品、子供を利用した/金が目的のわりに利敵行為が散見される/被害者が出ないように気を使う愉快犯ぽいのに妙な残虐性を感じる チグハグだと思ってました。なので原作の真相仮説は、取材と推理を重ねただろう、非常に信憑性を感じます。(本当に急場の寄せ集めメンバーだったら、とっくにボロ出して捕まってたでしょうけど)しかし当時を知らない世代の人にはあまり響かないのでは? この辺を松重さんあたりに補足する台詞があったら親切だったでしょう。
DESK

DESK