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罪の声のアイのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.3
昭和最大の未解決事件、グリコ・森永事件を題材にして書かれた社会派ミステリ「罪の声」の映画化。監督・土井裕泰、脚本・野木亜紀子とTVドラマで度々組んでる二人なので安定感はあるが、どうしてもTVドラマの延長のようで新鮮さや重みはない。出演者もお馴染みの皆さんです。TBSの二夜連続SPドラマでも良かったのでは?

長編原作をテーマを真っすぐ伝えながらうまくまとめる抜群の構成力。社会への批評的な視点。本作においては報道マスコミに対する問題提議(誤報やスクープ合戦による迷惑行為etc)。野木亜紀子脚本の長所は十分に発揮されていて、ラストの阿久津と曽根の感じはとてもらしかったです。お陰で良い気分で映画館を出ることができた。

犯罪に使われた子供の声のテープ。その真相を追う当事者の曽根(星野源)と新聞記者の阿久津(小栗旬)。別々に調べていた二人が出会うまでの前半は、次々に出てくる証言者もよく、引き込まれて面白かった。※丁寧にわかりやすく展開していくので、原作未読・グリコ森永事件も知らないといった方が観ても置いてかれないと思います。そして、二人が一緒に行動するようになってからはロードムービーとなり長尺物でも飽きません。二人の関係性もバディ的に楽しめます。東京、大阪、京都、岡山、英国のヨーク……ロケーションもいい。

罪の声。犯罪に利用された三人の子供たち。子供は未来なのに、大人がその未来を壊してしまうこともある。個人的に、大人になった生島聡一郎を演じた宇野祥平が素晴らしくて、泣かされました。いろんな作品に出てますが、毎度良い味を出していて注目しています。キツネ目の男の配役も最高でした!

主演の小栗旬と星野源もよかったです。小栗さん本人が「普通のおじさん役を見て」と言っていましたが、普通ではないです。顔の造形がよいせいですが。くたびれ感もない。そこはちゃんと言っておきたい。テーラーの星野源はナイーブさと、地味に真面目に生きてきた感じが出ていてハマってました。京都弁も違和感なし。ブリティッシュ・スーツ姿もファンなら眼福だと思う。

面白かったので、数年前に読んだきり再読してない「罪の声」の原作を読み返そうと思います。原作、とても面白いので未読の方は是非!今なら映画ビジュアルのカバーが付いてます。(公開初日にレビューしました)
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