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罪の声のkaorucoのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.7
原作小説は、実際にこれが真実なのでは!と思える程のリアリティで事件の真相にじわじわと迫っていく過程がとても魅力的なミステリー。当時の記憶とも相まって、かなりの熱量を持ちながら読み進んだ。

映画ではこの部分がかなり駆け足気味に、よく言えば綺麗にまとめられ、その分、主役の二人と事件に巻き込まれた人たちのドラマにスポットを当てている。

正直、もう少しそこを抑え気味にした方が自分の好みではあった。わかりやすく泣かせにかかっているのが透けて見えてしまったから。というより、作品を通じて伝えたいメッセージが前面に出過ぎていると言った方がいいかもしれない。
原作の醍醐味とも言える真相究明の過程の魅力がそのために削がれてしまったのは残念。

ただ、ボリュームある原作ものの映画化なので仕方ないかなとも思う。WOWOW辺りの連続ドラマの尺があればその辺りもきっとダイジェストにならず丁寧に描かれたのではと思うと惜しい気がする。

とは言え見応えのあるドラマになっているのは確かで、観終えた後にそれぞれの立場における正義について思いを巡らせた。
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