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罪の声のEDDIEのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.5
野木亜紀子脚本による緊張感のあるサスペンスミステリー。現実に起きた未解決事件をモチーフにしたギンガ・萬堂事件の真相を追う2人の男たち。時効を迎えた事件を今更追う意味を考えさせられる重厚なテーマだが、映画としては冗長でインパクトに欠ける。

塩田武士の原作ミステリー小説「罪の声」は、文庫版にして530ページ超の大作。
これだけのボリュームある内容を、しかもミステリー作品をいかにして2時間余りの映画にまとめ上げるのか。

結果的には野木亜紀子の素晴らしい脚本が見事まとめている一方で、これを映画館のスクリーンで観る意味とはということを考えてしまいました。
演出は所々過去の回想でドンパチを見せ飽きない構成にしてくれてはいましたが、台詞中心の単調な進行にやや退屈感を覚えてしまったのも事実です。かく言う私は前日までの不摂生と睡眠不足が祟り、寝落ちしてしまいました。

ただ俳優陣、特に新聞記者の阿久津英士を演じた小栗旬はとても良かったですね。
時効を迎えた未解決事件の真相を記者として懸命に追う一方で、わざわざ昔の事件を振り返してまで追う意味に疑問を持ち煮え切らないような感情を見事に表現していました。
常に緊迫感のあるシーンの連続でしたが、古舘寛治演じる上司の鳥居との漫才さながらのやり取りは好きな瞬間でしたし、物語の中盤で2人でこの事件を追う意味を本気でぶつかり合うシーンは胸を打たれました。

真相はミステリーなのでここでは伏せますが、正直なところ終盤のダイジェストのような展開には萎えましたし、地上波のスペシャルドラマで観ても遜色ない内容だと感じてしまいました。
高評価が多い中での意見なので、少数派と思って聞き流してください。

星野源演じる曽根俊也が阿久津と川辺でイチャつくシーンはほっこりしましたし、橋本じゅん演じる口の軽い板前さんは癒しでしたね。

それにしてもガラの悪い役やチンピラ役で奥野瑛太や若葉竜也を最近よく観ます。笑

※2020年劇場鑑賞134本目
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