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ストックホルム・ケースのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)
2.0
1973年、ストックホルム。アメリカ育ちの強盗ラースが、銃を手にクレジット銀行に乗り込んだ。女性行員のビアンカとクララを人質に取ったラースは、警察に強盗仲間グンナーの釈放を求める。そしてグンナーが連れてこられると、2人してカネと逃走用ムスタングを要求するのだった…

「ストックホルム・ケース」

以下、クララが出血している!ネタバレを持ってこい!


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犯人と人質が親密な状態になってしまうことをストックホルム症候群と言いますよね。その言葉の元になった事件を映画化した作品です。強盗ラースと人質ビアンカの関係がメインですね。
観る前に興味をひかれたのは、「なぜ人質が強盗と恋仲になったのか?」という点。異常な状況下だから何が起きてもおかしくない、みたいなテキトーな描き方ではなく、それなりのロジックがあったのが良かったかな。妻であり母であるビアンカは、夫に愛されてはいるけど、リスペクトはされてないんだよね。ラースが初めて、彼女を尊敬尊重してくれたのが大きかったのでしょうな。ま、新聞でラースのことを知っていたというのもあるでしょうが。

イーサン・ホークとラパス姐さんの2人は魅力的で、コメディとして楽しめる部分も多い作品。コーエン兄弟が「狼たちの午後」をリメイクしたらこんな感じになったかも知れないな。ぼんやり気味の警察側が、ラストにきてなかなかのファシスト的サディズム的になっていくのも面白い。マニアックなとこでは、70年代犯罪映画のアイコンでもあるマシンガンS&W M76の登場にアガり、マックイーンネタにも微笑。音楽好きにはボブ・ディラン推しなスコアが嬉しいんじゃないかね。パルメ政権下のスウェーデンって対ソ連でピリピリしていてアメリカ忖度が強い時代だから、警察側がアメリカ人を憎々しく思ってるとこも納得できます。

ところで、グンナーたちが話題にする「マックイーンが機織り機で働いていて、外にでたらすぐ強盗しちゃう映画」ってなんだか判ります?これ「ゲッタウェイ」のこと。1972年公開だから、封切ってすぐ、グンナーはムショのなかで観たことになりますよ。てことは、スウェーデンの刑務所のアミューズメントの充実ぶりがわかります。独房にテレビあったし、会話から娼婦も呼べるみたいだから、かなり快適。強盗やって捕まるならスウェーデンが一番だな(笑)
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