いずみたつや

ストックホルム・ケースのいずみたつやのレビュー・感想・評価

ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)
3.2
ストックホルム症候群を描いた作品は、近年では『ベルリン・シンドローム』がありました。理解しがたい2人の複雑な関係をスリリングに描いた怖い映画でした。

一方、こちらの『ストックホルム・ケース』は終始ほのぼのした雰囲気をまとっており、「ストックホルム症候群」についての映画というよりも、愛され銀行強盗と銀行員の犯罪ラブストーリーといった印象です。

誰が見てもかっこいいイーサン・ホークというキャスティングもあって、周囲の人々を虜にしてしまう優しい銀行強盗をロバート・レッドフォードが演じた『さらば愛しきアウトロー』に似ているとも思います(『さらば愛しき〜』最高でした)。

ただ、犯罪映画としては緊迫感に欠けるし、人間ドラマとしても犯罪者と被害者が互いに心を許し合っていく様が丁寧に描けているわけではなく、今ひとつ盛り上がり切らないまま終わってしまって残念でした。

この題材を扱うならやっぱりノオミ・ラパス側の葛藤をもっと見せて欲しかったし、それが十分表現できる演技力もあるので、取ってつけたようなラストだけでは勿体ない気がしました。