門倉カド

ストックホルム・ケースの門倉カドのレビュー・感想・評価

ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)
1.0
どこか牧歌的。意外性のあった事件の顛末とは。

【賛否両論チェック】
賛:人質達が、警察への不信感や犯人の人柄への共感を経て、次第に犯行へ協力的に変わっていく様が、時にユーモアたっぷりに描かれていくのが魅力的。
否:緊迫した事件のはずなのに、なんだかのんびりとしていて、ハラハラドキドキを期待して観ると、やや拍子抜けしてしまいそう。物語もかなり淡々と進む印象を受けてしまう。

 誘拐や監禁事件の被害者が、犯人に連帯感や好意的な感情を抱く状態を指す、「ストックホルム症候群」と、その基となった銀行強盗・立てこもり事件を描いた本作。・・・という、本来であればメチャメチャ緊迫感溢れる事件なはずなんですが、1973年という時代だからなのか、それともスウェーデン初の人質事件だかなのらか、観ていると何となくのどかといいますか、どこか牧歌的でのんびりとした印象を受けるのが不思議です(笑)。
 始めは事件に恐怖心を覚えていたビアンカ達人質が、自分達をないがしろにする警察の頑なさや、一方のラースの人となりを知るうちに、次第に協力的に変わっていく様が、淡々とした中にも時にユーモラスに描かれていくのが印象的です。盗聴器に気づいた後のシーンには、思わず笑ってしまいました(笑)。
 基本的にはサスペンス好きな方向けかもしれませんが、一風変わった事件を扱った作品ですので、気になった方は是非。
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