控えめにカバディ

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊の控えめにカバディのレビュー・感想・評価

3.9
ちょっと狂気をはらんで、それでいてシニカルなウェスアンダーソンの世界が好きで楽しみにしていた。それは本作でも健在だった。

架空の雑誌を舞台として、雑誌の記事のように3つの異なるストーリーが連なった作品。ほとんど短編作品集といっても良いぐらいだった。こういう場合、長編作品とは違って映画に一貫したテーマや主張みたいなものを受け取るのは難しい。(一応、3ストーリーとも愛をテーマとしていたが)

そんな中で、映画を通して一貫して思ったのは映像の楽しさと馬鹿馬鹿しさ。「犬ヶ島」のようなハラハラドキドキは無く、ずっと楽しい。悲しいシーンも楽しくて笑える。そして、らしさ全開のアートワークと「そうはならんやろ」というストーリー。でも世界観のおかげか何故か納得してしまうのがまさにウェスアンダーソンって感じだった。

自分はいわゆるミニシアターで観たけれど、作品の本質的にはエンタメ全開のシネコンで観た方がいいんじゃなかろうかと思った。
あと、毎度ながらティモシーシャラメ美しい。