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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のChiのレビュー・感想・評価

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色遣いとか小道具とか左右対称の構図とか、目に入るものがあまりにも自分の嗜好にどんぴしゃでウェス・アンダーソンの虜になったけど、今はそれだけじゃなくて、どの作品も人と人(時々動物)との間に存在する愛情が描かれていることが、いつまでも夢中でいさせてくれる理由だって分かる。フレンチ・ディスパッチも例に漏れずあたたかい物語で、愛情表現をユーモアさで少しごまかして、押し付けがましくないところがまたよい。
こんなにもやさしい作品を生み出す監督の人柄がうかがえるし、常連キャストはもちろん、新しく参加したキャストも作品への馴染み具合、監督への愛が溢れてしまっていたと思う。
それから、アレクサンドル・デプラがやっぱりかかせない。特に冒頭の音楽に引き込まれて聴き逃せなかった。最後にも使用されたテーマで、特有のきらきら(自分の中のイメージ)感、心に寄り添ってくれた曲。
映像に関しては、白黒、アニメ、二画面分割、新しい要素がいくつかあったけど、変わらず心臓がぎゅんするカットの数々。カットごとに切り取ってじっくりじっくり見たいくらい。音楽のこともあって字幕も映像も追いつけきれなかったから、これから何度も繰り返してまだまだ色々発見したい。
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