アートワークたる映画として、ウェスアンダーソンっぷりを思う存分に注ぎ込んだ1秒逃さずウェスアンダーソン映画。
考察記事にもあるように、アンソロジーであることで、「あぁ割と短めにこの話ってオチが来るんだよね」という期待値が見る側には設定される。
しかし、それこそが本作全体としての狙いであって、没入させてくれない。
淡々と、アートワークを目の当たりにさせられる感じ。
誰がなんて言ったかとか、もちろん大切だし意図は込められてるんだろうけど、なんか別にそこ一生懸命追うの、いいやって途中から思う。この映画、そう頑張らなくても楽しいやっていう。
終わった瞬間に、隣の席の人が寝てしまったと呟いていたが、かく云う自分も、同じだった。
ただ、つまらないとか、見る価値がないとかいう感想ではなく、むしろ正反対である。
ウェスアンダーソンの作品っていうのは、往々にしてそうではあるのだけど。
寝ちゃったけど、いい作品だった。
そんな感想をもてる映画は、他にはないように思う。
忙しくてあの章テキトーにしか見れなかったけど、雑誌として好きだから、また見よう。こんな感じだ。
引き込まれて感動することだけが映画じゃない。
映画というフレームワークの本質を掴んで、スクリーンの前の観客にインパクトを与える。
ウェスアンダーソンにしかできないことを、やり通している。