きょ

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のきょのレビュー・感想・評価

4.1
だいぶ好き。ウェス・アンダーソンの中では一番。

色彩と図形的な画作り、スローモーションや90度回るカメラワーク。このへんはいつも通りやしもちろん美しいねんけど、今作は文学の美しさも取り入れた。

個性の強いジャーナリストたちの記事一つ一つが、洗練された憂いを帯びて、観終わったときには不思議な爽快感が心に残る。

しかし作品の舞台は架空の町「Ennui sur blase」。退屈や無感動という意味であり、編集長のメッセージも「Don't cry」。
ウェスアンダーソンの機械的な画作り、単調なBGMやカメラワークの極致ともいえる今作はもはや無感動の域なのかもしれない。グルメの記事でネスカフィエ料理長の言葉を省いたのは、そういう意図かもしれん。本当に雑誌をめくるように無感動に読み進めていくのが正解なのかもしれんけど、そのくせ白黒からカラーに変わる演出は感動せざるをえん。
編集長の雑誌にかける思いや人望の厚さが少しずつ見えてくる構成も心が暖まる。

キャラクターや題材は実在するニューヨーカー誌の人物や記事をモチーフにされている。
俳優は監督のお馴染みたちから新規メンバーまでこれでもかという名優揃い。
きょ

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