究極のやりたい放題芸術。
オリジナリティの塊であり、作家性の到達点を見ることができる。
映画内で雑誌を作るという意味不明な挑戦が成され、観客は強制的にページをめくらされ、三つの特集を読むことになる。
映像の基本的な技法は破壊され、ストーリーテリングは支離滅裂寸前にまで抽象化されていく。破綻スレスレなのに、甘美な映画体験の味わいに胸いっぱいになる。
脳が混乱しているのだが、幸せも感じている。ただし、頭にストーリーは大して入ってこず、思考は停止する。
この感じはディビッド・リンチのツイン・ピークスに近い。ついていけないんだけど、目が離せない。
エンドロールの出し方まで自由奔放で、もはや映画ではなく、全く新たな次元のものを観ている感覚に陥った。
だけど、それこそが本当の革新的な映画体験なのだろう。
もはやウェス・アンダーソンは世界で1番オリジナリティがある、と言っても良いレベルにまで登り詰めた。これから何処に行くのかさっぱり分からない。それでも、きっと何時までも、いつも通りなのだろう。