YukiSano

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のYukiSanoのレビュー・感想・評価

4.0
究極のやりたい放題芸術。

オリジナリティの塊であり、作家性の到達点を見ることができる。

映画内で雑誌を作るという意味不明な挑戦が成され、観客は強制的にページをめくらされ、三つの特集を読むことになる。

映像の基本的な技法は破壊され、ストーリーテリングは支離滅裂寸前にまで抽象化されていく。破綻スレスレなのに、甘美な映画体験の味わいに胸いっぱいになる。

脳が混乱しているのだが、幸せも感じている。ただし、頭にストーリーは大して入ってこず、思考は停止する。

この感じはディビッド・リンチのツイン・ピークスに近い。ついていけないんだけど、目が離せない。


エンドロールの出し方まで自由奔放で、もはや映画ではなく、全く新たな次元のものを観ている感覚に陥った。

だけど、それこそが本当の革新的な映画体験なのだろう。

もはやウェス・アンダーソンは世界で1番オリジナリティがある、と言っても良いレベルにまで登り詰めた。これから何処に行くのかさっぱり分からない。それでも、きっと何時までも、いつも通りなのだろう。
YukiSano

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