てつこてつ

見えない目撃者のてつこてつのレビュー・感想・評価

見えない目撃者(2019年製作の映画)
3.2
数年前に韓国オリジナル、中国リメイク版を鑑賞してからの日本リメイク版の視聴。

中国リメイク版は、厳しい検閲を受けるお国柄上、猟奇殺人の描写が随分薄味となっていたが、この日本版は、オリジナル版を超える異常性、グロさあり。犯人像もオリジナル版とは全く異なるが、女子高生の風俗嬢のみをターゲットにしている辺りは日本の社会事情を反映しているし、犯人役の役者の冷酷さ、狂気を見事に表情に出し切った演技も素晴らしい。

ただ、「殺人の告白」の伊藤英明・藤原竜也の日本リメイク版もそうであったが、若干、話を捻り過ぎで、このような連続殺人を扱ったサスペンスとしては、2時間超えの上映時間は、やや長すぎるかも。

特に、クライマックスの犯人のアジトに、応援の警官たちの到着を待たずして、盲目のヒロインたちが忍び込む下りは、設定的に無理があるし、引っ張り過ぎ。松田美由紀が演じたヒロインの母親役も削ったほうがストーリー上、スッキリする。

サスペンスシーンがオリジナル版と比較して格段に減らされているのも、作品を若干冗漫にしてしまっている。ヒロインとスケボー少年が助け合っていくきっかけとなる犯人のヒロイン尾行シーンを削ってしまったのは勿体なさ過ぎ。

ヒロインを演じた吉岡里帆は、韓国版・中国版のヒロインを演じた女優陣と比べて、盲目という設定の目の演技が明らかに劣ってしまっているのが残念。全盲者主観の白いザラついた背景に直線的なシルエットでだけ部分的に対象物を捉えるという革新的な演出が加えられてるだけに、なおさら勿体ない。そもそも杖を持たせない設定にしたのは何の意図があったのだろう?犯人に追われる下りで、さすがに盲導犬のリードだけで駅ホームに向かう段差のある長い階段の猛ダッシュとか無理がある。

吉岡里帆が童顔な上に、亡くした弟のように接する高杉真宙演じるスケボー少年が高身長で大人びているので、同じ年齢のような見え方をしてしまっているのも残念。また、刑事役の田口トモロヲは、やはり、オリジナル版のようにもう少し若い役者さんのほうが個人的には台詞のテンポや、ひょっとしてヒロインと結ばれるかも?的なミスリーディングも出来たので良かったと思う。
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