イチイ

シライサンのイチイのレビュー・感想・評価

シライサン(2020年製作の映画)
1.5
会食中の友人が突然見えない何かを見たあと眼球が潰れて怪死した大学生の瑞紀は、まったく同じ状況で弟を亡くした大学生の春男と知り合う。原因をたどるとふたりはアルバイト先の仲間と一緒に旅行に行っていたことがわかる。その旅行に同行した女性を尋ねると、亡くなった友人たちが滞在先の旅館で偶然出会った男から恐ろしい怪談を聞かされていたことがわかる。なんとそのモノの名前を知っただけで、それが命を奪いにやってくるのだという幽霊系ホラー。

Jホラーらしい作りの作品で、ソーシャルメディアの発達したいまの状況に合わせた怖さを生み出そうという仕掛けがきちんとされていて、観客も巻き込んでいくアイデアは悪くない。地方都市が舞台になっていて、主要産業のひとつであろう温泉宿が呪い拡散の中心地になっているのも面白い。シライサンの造形が厳しいところや、携帯電話の電波が入らなくてどうこうといった稚拙な展開、続編狙いの出し惜しみがなければ悪くなかったようにも思う。

舞台になっているのは福島県いわき市。側溝から湯けむりの立ち上る温泉宿街や、怪談が宿のロビーで語られるところなどで当地の雰囲気が感じられる。夜の野外のシーンは暗くて風景がよく見えない上に、なんの変哲もない道路が舞台になっていたりと物足りない。
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