シソウメ

初恋のシソウメのネタバレレビュー・内容・結末

初恋(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

三池監督の作品、あまり見てなくてよく知らないが『極道大戦争』のクソ加減がイメージとして強く、『神様の言うとおり』の出来にイラッとしたくらいしか印象がない。

しかし、この作品は良い。

脚本こそ先が予想つくし、想像の域を出ない。
そして前半は昨今の日本映画特有の説明時間が長いのだが…。

後半、人死が出てからはすごい。
役者の演技、そしてテンポの良い展開で全てを持っていく。
山場では『ブラックレイン』を彷彿とさせるカーチェイス、『イコライザー』感のあるロケーションでのアクションと、難しいことはいいじゃないかというハイテンションが畳み掛けてくる。

ずっとおふざけをやってる場面も多いし、ホラー演出もコメディ演出もふんだんに盛り込まれている。
三池監督って映画好きなのかな?
んで、今作は本当に撮るの楽しかったんじゃないかな?知らんけど。

主演の窪田正孝は無駄のない肉体を存分にさらけ出すし、何より背中が本当にかっこいい。これは鍛えられた男の体と感じる。
背中、好き。
全場面での表情が本当に素晴らしいので、体だけじゃなくてちゃんと顔も見てほしい笑
そして、染谷将太はシライサンでも魅せた等身大のキャラクターを演じきる。彼は味があってコミカルなのにナチュラルで本当に上手い。安心感ある。
おおよそ今までの内野聖陽とは違う印象の彼に亡き大杉漣を見た。上手い。
ベッキーはその印象を強烈に刻みつけるお芝居。一度は死を覚悟した人間の物語で、改めて生きることに向かっていく様を描いたこの作品には素晴らしいキャスティング。彼女の気迫をビシビシと感じた。かっけぇ。

最終的に浪漫に行き着くのだが、タイトルの『初恋』に相応しいピュアな描写で締め括られて本当に安心した。
この流れで変なラブシーンを出されたらどうしようかと思った。

二人はようやく「生きること」を始めて、きっと育んでいくのだ、初恋を。

覚醒剤の恐怖、依存から脱却する大変さをラストしっかりと描写してくれたのは本当に好感が持てた。
『ボブという名の猫』でもしっかりと描写されていたからもしかして監督好きな…略

三池崇史監督の好感度が上がる作品だった。
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