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新宿泥棒日記のyのレビュー・感想・評価

新宿泥棒日記(1969年製作の映画)
3.6
グリニッジ標準時から世界をぐるっと、日本時間12時に起った泥棒騒ぎ。時計を叩き割るシーンで始まるアバンタイトルのキレ味よ。アリババ、謎の街。本屋の雑踏の中のゲリラ的な動きをするカメラから、室内のブレ無しカメラワークへの切り替わりがたまらない。カラーとモノクロが混在し、突如切り替わる演出もまた独特。性的なテーマもありつつも、やはりどことなく若松孝二っぽさが映画全体に滲み出ている気がして、調べたところ若松作品常連の助監督、秋山道男による演技指導があったそう。渡辺文雄、戸浦六宏、佐藤慶、山崎唯らがセックスとは何かを真剣にディベートするシーンが長々あるのがとんでもないし、面白い。「セックスとは複数形だ。男と女。マスターベーションではあり得ない。」。フィクションながらドキュメンタリー映画のインタビューのような台詞回しがとても印象的だった。後半は抽象的で理解が難しいもの、熱だけは分かった。
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